第2章 最初の罠

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「いや、だからつまり……可偉人がどうしてあなたと上手くやれないのか不思議なんです」 変な沈黙。 僕は慌てて場を取り繕う。 「たしかに、共通点は少ないかもしれないけど……でも」 「でも?」 「あなたと敵対する理由が見当たりません」 男として人間として 理想的な人。 「それはきっと――君が僕の兄弟じゃないからだ」 律さんは含み笑いで 意味深に顎先を撫でた。 「君が思うほど僕は優しかないよ」 それから 困ったように瞳を伏せた。
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