2人が本棚に入れています
本棚に追加
使い魔とはいえ、感情がある以上、主に恋心を抱いてしまうケースはないわけではない。
特に異性の元に仕えると、その感情に目覚めるなと言う方が難しいときもある。
たくさんの時間を共有して、死線を潜り抜けた相手に依存したり、愛情を感じてしまうことは、感情に素直な使い魔にはよくあるケースだった。
しかし、契約が切れてしまえば、その感情が消えてしまうのが普通であり、ネオンのように未練を感じて、ストーカー行為に走ることは稀である。
「規約にもあるように、特別な感情を抱いた主と使い魔の間で合意が得られない場合、契約は終了だ。残念ながら、君の主は、恋愛感情を抱いた使い魔は扱いたくないと言っている。契約は終了しているんだ」
それを聞きながら、ネオンはその瞳に大粒の涙を溜めて、「分かってる、分かってはいるの」という言葉を繰り返すのみ。
頭では理解していても、感情がついていかないことは容易に判断できる。
「明日、私が直々に迎えに行く。素直に帰るか、私に連行されるか、選んでもらう。素直に帰れないのであれば、君はもう使い魔として外に出すわけにはいかない」
その言葉の意味は、使い魔として生きるか、罪人として生きるか選べと言っているに等しかった。
主を得れない使い魔は、どこかに幽閉されてしまうという話は聞いたことがあったから。
自分がその運命を辿るのかと思うと、辛かった。
それでも、ここから離れることはできそうにない。
最初のコメントを投稿しよう!