思うところは。

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今まで、散々リア充を非難してきたけど。 私だって最初から、そんなことをいい始めた訳じゃない。 私にも一応、片想いの経験はあるから。 相手の一言一句に一喜一憂したり、一挙手一投足に心をときめかせたり。 そんな毎日は不思議と充実していて、自然と笑顔も増えていった。 友達にも、 「最近、可愛くなったよね」 なんて言われて。 完全に、有頂天だった。 そんなある日。 私に、とある出来事が起こった。 それは…。 「好きです、付き合ってください!!」 そう、いわゆる、『告白』というもの。 あまりにもベタな台詞だけど、嬉しかった。 その人は残念ながら(というと失礼だけど)私が好きな人じゃなかった。 だけど、嬉しかった。 …そのあとは、丁重にお断りしたけれど。 私としてみれば、想いこそ伝えてはないものの、二股をかけているみたいで申し訳なかったから。 この出来事が私に自信をつけてくれて、ようやく「告白してみたい」と思えた。 今にして思えば、「告白してみたい」だなんて、何のゲーム?って感じなんだけど。 そのときはそう思ってたわけで。 友達にも協力してもらって、セッティングは完璧。 あとは、私が伝えるだけ。 相手の歩いてくる音が聞こえて、思わず身を固くしてしまう。 「いきなり呼び出して、どうしたんだ?」 いつもの調子で話し始める。 「あ、あのねっ」 けれど、私がいつもとは違う雰囲気なのに気付いて、だんだんと顔が真面目になっていく。 「私…」 言いかけた、そのとき。 「待って!」 近くに隠れていたらしい友達が声を上げる。 「あたしも。」 まさか、そんな。 悪い予感が頭を掠める。 そして、その予感は見事に的中。 「あたしも、好き。」 私だってまだ言っていない、その言葉を。 友達はいとも簡単に言ってしまった。 「わ、私も。 私も、すき。」 伝えたいと思ったから、言ったけど、心のなかでは号泣していた。 私が好きなことを知っていたのに。 たくさん相談して、悩んで、こんな裏切りなんて、ないと信じていたのに。 「…ごめんね?」 悪気の欠片もない顔で言われたって。 私は、相手の返事を聞くのが怖くなった。
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