第1章

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九話「裏切りの代償」 ―三年前― 「ヴィン兄、お兄ちゃん、ロート、今日は何をして遊ぶ?」 花畑にブラウ、ネーベル、ロートヴィントの四人が座っている。 とりわけネーベルが楽しそうに話す。 「そうだな…ネーベルは何がしたい?」 そんなネーベルにヴィントは優しく問いかける。 「私はね…木の実を取りに行きたい!」 「ネーベルは、ホント木の実が好きだな」 実の兄・ブラウが感心する程の木の実好きなネーベルだった。 「木の実は色々使えるのよ?アクセサリーにも出来るし……ね、ロート♪」 「あ、うん。木の実で作ると綺麗なんだよね」 「でも、アレだけはやっぱり取れないかなぁ…ロート、凄い欲しがってたのにね」 「ん?ロートは何か欲しいものがあるのか?」 「ネ、ネーベル!それは内緒って云ったでしょ!!」 ネーベルがついたため息にヴィントが反応し、ロートは慌てて目の前で手をぶんぶんと振った。 「あ、ごめん…つい…」 申し訳なさそうにネーベルが言う。 するとブラウが、 「つーかお前がそんな遠慮するなんて珍しいじゃんか。明日は雪か?」 とおどけて見せた。 ギュゥゥゥゥゥ 「痛っ…!」 ブラウは突然痛み出した。 ロートとヴィントは不思議そうにブラウを見ている。 「お・に・い・ちゃーん♪そういえば、そろそろおやつの時間でしょ?家までお茶菓子取りに行くの付き合って?」 ネーベルは何処か黒い笑みを含んでブラウに告げた。 「え?あ、あぁ…別にいーけど…」 半ば涙目になりがならブラウは言った。 「それじゃ、ロート、ヴィン兄、お茶菓子取って来るね♪」 ネーベルは優しく言い、ブラウと共に立ち上がって立ち去った。 「う、うん。行ってらっしゃい…」 「気をつけろよー」 ロートは苦笑気味に。 ヴィントは何か気付いてる様子で手を振って見送った。 ネーベルとブラウが二人から離れた場所へ。 「っていうか、何でさっき抓ったんだよ」 「お兄ちゃんが鈍感だからよ」 「はぁ?」 さらりと言いのけるネーベルに、意味が分からない、という様子のブラウ。 兄弟でも差は出るものだ。 「もう…お兄ちゃんってば、本当に気付いてないの?」
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