第1章

3/8
前へ
/8ページ
次へ
「だから、何にだよ?」 「ロートとヴィン兄、付き合ってるんだよ」 「……は!?マジで!!?」 ネーベルの言葉にブラウは心底驚く。 友達二人が恋人同士だったとは。 それはそれは驚きだった。 「…本当鈍感なんだから……」 「だ、だけどさ?それと俺等があそこから離れるのとどんな関係があるんだ?」 「ロートが欲しがってたアクセサリーの話をしてたからよ。私はもう知ってるからいいけど…お兄ちゃんがあの石の石言葉を知ったらからかいそうだし…」 「?よく判んないんだけど?」 「あー、もういいからっ。ほら、お茶菓子取りに行こっ!」 「あ、あぁ」 ネーベルに促され、ブラウはよくわからない儘、お茶菓子を取りに行くことになった。 内心は今でも驚いている。 あのロートとヴィントが…と。 それでも喜ばしいことだ、とブラウは思っていた。 ・・・・・ 一方花畑で待つヴィントとロート。 「…ブラウじゃないけど、ロートが欲しいものを我慢するなんて珍しいな?何時もなら、買って買って、って煩いぐらいなのに」 「あ、あたしは別に何時もそう云ってる訳じゃないもん!」 ヴィントの言葉にロートは焦る。 そんなに自分は言ってただろうか、と。 一応恋人、という関係になってからは遠慮をしていたつもりだったのだが…。 「はいはい。…で?欲しい石って何なんだよ?」 「そ、それは…その…」 「ロート。俺達に隠し事はなしだろ?…何なんだ?」 ヴィントは優しくロートの髪を撫でてやる。 ロートは少し恥ずかしそうにしながらも言葉を紡ぎ始めた。 「…スノー・フレーク・オブシディアン…」( 「オブシディアン?…あぁ、今この世界では結構有名な石だよな。恋人や、妻にする人物に贈る、ってので」 「…う、うん……こないだ、ネーベルと木の実を摘みに行った時にね、お祖父様に逢ったの。お祖父様が、ヴィントから貰うのは何時だ、って聞いてきて…」 「確か、あの石は鉱山の奥で時々見付けられる、希少価値の高いやつだったよなぁ」 ヴィントは何かを確認するかのようにロートに言う。 「え?あ、う、うん…そう…だけど?」 ロートは不思議そうにきょとんとしながら首を傾げて答えた。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加