第1章

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「……次に見付かった時、どんな高値でも購入して、お前に贈るよ」 「…ヴィント……あ、ありがとう…」 ヴィントが優しく告げると、ロートは嬉し恥ずかしそうに笑った。 この世界では一種の婚約の証。 それを貰うという意味は――。 ロートは正直に嬉しかった。 「只今~…っと……ロートのその顔…決まったんだね~♪」 ネーベルとブラウが帰ってくる。 帰ってくるなりネーベルがにやにや笑いながらロートを突っついた。 「ネ、ネーベル!恥ずかしいからあんまり云わないでよ!!」 「はいはい、ごめんなさーい♪」 焦るロートに軽く笑ってネーベルが謝った。 だがネーベルも嬉しそうだ。 「決まった?って、何が?」 「鈍感なお兄ちゃんは放って置いて…と…。おめでとう、ロート♪」 ロートの頭へ、シロツメクサで作られた花冠をネーベルが置き。 「…ネーベル…ありがとう…」 「ヴィン兄!ちゃんとロートの事面倒見てなくちゃ駄目なんだからねっ!?」 微笑むロートを他所に、ネーベルは叱りつけるようにヴィントに言った。 「ネーベルはまるで俺の母親みたいだな」 「つーか、俺だけ置いてけぼりにすんなよー!」 くすくす笑うヴィント。 その三人の様子にブラウが少し苛立ったように声を上げた。 「おぉ、悪いな。お前を構ってる暇もなくなったんでね」 「はぁ?何だそりゃ」 「何れ判るさ」 「さぁ、おやつにしよっ!今日のは自信作なんだからっ!!」 ヴィントの意味ありげな発言も意味不明と言った感じのブラウ。 そんな兄をほっといて、妹・ネーベルはお茶菓子を広げた。 ・・・・・ 「…ロート…俺等は確かに違う道を歩んだ……だけど、二度と戻れない事なんてあるのか?」 「…ヴィント…」 ヴィントが何処か哀しげに言う。 ロートは何を言おうか考える余裕すらないのか、言葉が紡げなかった。 「おい、勝手に話を進めんな!俺はお前を許したりしない…あの日……あの日、お前が教会にさえ行かなければネーベルは助かったんだ!お前がネーベルを殺したんだ!!」 横から出てきたのはブラウだ。 ネーベルの名前を聞けば、ヴィントはロートからブラウへ視線を移した。
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