第1章

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「是?なんで…」 海は不思議そうに首を傾げた。 「いいから、早く!」 椿は少し焦ったように海に言う。 海はそんな椿に後押しされたように頷いた。 「わ、判った…。…舞い上がれ黒煙の楔…素早く動きて敵を討て……」 「ヴィオレットさん、ブラウ、波ちゃんは、あたしと一緒に是を!」 ヴィオレット、ブラウ、波にも魔法書を渡す椿。 「ん?是を、か?」 「…でもあの人、神様がついてるから、って…」 「あたしも、確信を持ってる訳じゃない…でも、きっと上手くいくと思うの。お願い、手伝って!」 椿の焦りは決意へ変わり、真剣なまなざしで皆へ頼み込む。 「……椿ちゃんが其処までご熱心じゃあ仕方ないね。…やろうぜ」 「しょーがねぇなぁ…ま、いーだろ」 「…私、椿さんを信じます。頑張りましょう」 「有難う…!海君の技が放たれたら間髪入れずに放ってください!」 椿の真剣さが伝わり、皆が同意してくれた。 椿はそれが嬉しかった。 必ず成功させて見せる、と改めて決意した。 「おぉ!?椿、何か糸口発見!!?」 「ゲルプ…探検じゃないのよ?」 わくわくした様子のゲルプに由佳里が軽くため息をついた。 「りょーかい♪……四大始祖に封じられし風の始祖、ブリーズよ……今こそ力、解き放て…」 「海や波が頑張ってんのに、俺がやんねー訳にはいかねぇからなぁ?……四大始祖に封じられし火の始祖、フェウレ……我の力となりてその力、解き放て…」 「…四大始祖に封じられし地の始祖、エルド様……私の声が届くのならば、どうかそのお力をお貸し下さい…」 「四大始祖に封じられし水の始祖、ウィシー…我が声に反応したまえ……我に術を授けよ…」 「……ダークウェッジ!」 ヴィントが隙を作ってる間に海が詠唱を済ませ、術を解き放つ。 闇の鎖がヴィントを取り巻いて動きを封じる。 「!しまった…!!」 ロートやブラウに意識が集中していたとはいえよけられなかった自分に情けなさが積もるヴィント。 しかし情けなさが積もっても、闇の鎖はほどけない。 「今です!…ウィシーよ……アクアバブル!」 「…エルド様……ストーンクラッシュ!」 「行くぜ?フェウレ……フレイムブレーク!」 「…成る程、是なら……。ブリーズ……エアーレイン!」 四つの元素が集まり、一つの塊と化し、ヴィントへ向かい。
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