第1章

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一刻も早く家から出たかった。 この場所から脱出したい。 とにかくその一心でありとあらゆるバイトをし、高校生から成人するまでひたすら働いてお金を貯めた。 その時に水商売を経験した。 そしてやっと二十歳になった。 これで誰にも文句を言わせない。 誰の力も借りず、誰にも頼らず、自分で汗水流して働いたお金を持って、私は上京した。 右も左もわからない縁も所縁も無い東京だったが、せっかく家を出るなら遠く離れた場所に行きたかった。 親とは最後ろくに言葉を交わさないまま、深い溝を埋めることなく実家を離れた。 地元に何の未練も残さず、私は東京ではじめての一人暮らしを始めた。
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