第1章

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ここで過ごすのは限界だった。 母親に、一人で留守番するから託児所に行きたくないと言った。 一人で留守番し始めたのは、三歳だったと後から知った。 それからは託児所にお世話になることはなく、一人で家で留守番した。 暗いのが怖いので、家中の電気という電気をすべて点けていた。 トイレに行くのが怖いのでギリギリまで我慢し、すぐ済ませ慌てて出た。 記憶として残ってしまっているので、文章で書くとちょっと引くかもしれないが、今はなんとも思っていないし、母親のことを恨んでもいない。 なので、前述のことも可哀想とか哀れんで欲しくない。 生きていく為に、育てる為に、若い母親は仕方のない選択だったのだろう。 居ないことのほうが多いので、ベッタリ甘えた記憶は一切ない。 お母さんは働いて家にいない人。ってずっと思っていた。 子供の頃、どこかに連れて行ってもらったとか、一緒に出かけた思い出もない。 そんな母子家庭の親子だった。
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