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それは真夏の昼下がりの出来事。
僕はずっと思いを馳せていた、同じ大学の女性をカフェテラスへと呼び出した。この時間は授業に出ている人が多いため、ここには僕と彼女だけしかいない。
人気のないカフェテラスへ呼び出すからには、もう何を伝えたいのかは理解しているのだろう。彼女はとても落ち着いている。
「君のことが好きだ。付き合ってくれ」
僕もなるべく冷静さを保ちながらそう伝えた。しかし彼女は、下を向いてコーヒーを一口飲んでいるだけだった。
沈黙が続く。僕は、ちゃんと告白できたよな…?
彼女の方をチラリと見ながら僕もコーヒーを飲む。そして、あっという間に空になってしまった。
壁に掛けられた柱時計の音だけが、やけに大きく響いている気がした。
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