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さほど広くない部屋の端まで転がった俺の口から間抜けなうめき声がもれるが何とか体勢を整える。
彼女が俺を見る、俺も彼女を見る。図らずもローアングルから見上げる形になったわけだが正直えらいことになっている。
地球の重力という強大な力に負け、自分の意思とは関係なく下に向かう視線を無理やり上に向ける。そして救いを求めるように少女の顔に視線を移す。
整った顔立ちをしている。少々釣り目気味の目にはランプを彩っていた宝石の一つと同じ青色の瞳が宿っており、腰の半ばまである銀髪はまるでそれ自体が光を放っているかの如く煌いていた。
道行く人々に聞いても百人が百人とも『美少女』の枠にカテゴライズするであろう魅力があった。
彼女の瞳は後悔の念が揺らめいているように見える。いくら裸を見られたからって見ず知らずの男をいきなり殴り飛ばしてしまった事に対して負い目を感じているに違いない。
突然全裸で現れたのは向こうなのだが、ガン見してしまったこちらにも非はあるだろう。理由はともあれ、女性に謝らせるのは男としてどうかと思うので先に謝罪の言葉を述べることにする。
「あの……裸を見たことは謝るからとりあえず落ち着いて…………」
「? 裸? あんた何言って――――っ!?」
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