第1章

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目先の問題を未来の自分に丸投げし思考を中断した杉谷に後ろから声がかかる。 「おっ! あれ杉谷じゃね!? おーい! 杉谷ーっ!」 「ま、真紀っ! あんまり街中で大声出さないでよ、恥ずかしいでしょ!?」 声の主は杉谷のクラスメイトだ。 あははーごめんごめん、と頭を掻いている金髪が篠木真紀。肩上で切りそろえられた明るい金髪に、いまどきの若者らしい少し派手目の化粧が元々の整った顔立ちをより特徴付けている。 クラスの男子に高級食材にしこたま添加物を詰め込んだような女…………と、言わしめたこともあるが本人は全く気にしていないらしい。あと、胸はある方。 そしてもう一人、 「ごめんね杉谷君、いっつも騒がしくて」 申し訳なさそうにしている黒髪眼鏡が松本愛華、一見すると目立たなさそうだが、よく手入れの行き届いた艶のある黒髪を頭の横でくくり、赤いフレームの眼鏡がよく似合っている。 とある男子が派手さは無いが抑えるところは抑えている親しみ深い日本料理のようだ…………と言っていたこともある。残念ながら胸は無い方。
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