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オレンジ色の頭や上下ジャージにはっぴという男の奇抜な格好に驚いたわけではない。その男の足元、うずくまるように倒れている人物に見覚えがあったから。
長い銀髪を地面にさらしているのは杉谷の家で彼の帰りを待っているはずの少女だった。
「――――テメェ! 何やってんだ!?」
杉谷の叫びに反応したはっぴ男が驚きと呆れが入り混じった表情で振り向く。
「くっそ、またかよ。だから人払いとかその手のは苦手なんだっつーの!」
しかしはっぴ男の言葉は杉谷に向けられたものではない。例えるなら一度間違えた問題をまた間違えてしまった、そんな程度の意味しかなかった。
「あーそこのお前、今なら見逃してやっからとっとと帰れ。 お互い見てみぬふりすんのが一番なんだよ、お前は無事に家に帰れる、俺は上司にどやされねぇ。わかったらさっさと――――」
「ゴチャゴチャうっせえよ! そいつに何をしたって聞いてんだ!!」
得体のしれない男に対して、杉谷の瞳には明確な怒りの色が宿っていた。声を荒げる杉谷と対象的に、めんどくさそうにはっぴ男が口を開く。
「――――――廃品回収だよ」
「……………は?」
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