第1章

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目の前の男が何を言っているのか、言葉としての理解はできるがその意味を頭で理解することができない。 「だぁから、は・い・ひ・ん・かいしゅー、 ご利用の製品に不具合が生じたため回収に参りましたーってわけだ」 「…………廃品…………だと?」 「お前もコレがただの人間だとは思ってねーだろ? コレは人の手で作られた魔装具で持ち主の願いを何でも叶えるって代物……だったはずなんだが、実際コレにそんな力はなくて、せいぜいしょぼい奇跡<ラッキー>を起こせる程度のガラクタだ。そんなガラクタでも欲しがる輩が多くてな、ろくでもねぇ奴らの手に渡る前に俺達の手で回収しちまおうってわけだ」 「て――――――ッめぇ!」 頭で考えるより先に足が動いていた。自分の出会った少女が人間ではなかった? それがどうした。 とにかく目の前の男をぶん殴る、そう決めた杉谷は両の手を握り締め標的に向かって一直線に駆け出した。 「一般人巻き込むつもりは無かったんだけどまぁいいか」
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