第1章

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杉谷は咄嗟に身をよじり鉄球をかわす。 (パチンコ玉が鉄球に変わった? いや、大きくなったのか?) 背後でアスファルトが砕ける音がする。見てはいないが同じものをくらえば自分の体がどうなるか想像するのも難しくない。 「くっそ!  通りすがりのマジシャンですつっても信じねえぞ!」 杉谷が声を張り上げる。 「タネも仕掛けもここにある」 そういって男は手の上で木槌をくるりと回す。 「打ち出の小槌。昔話の一寸法師に出てくる小槌をモデルに造られた魔装具だ。霊格ある木から切り出した小槌に、成長を司る緑で強化を意味する術式を書き込んだのがこいつだ。ようするにこいつで殴ったものは何であれ巨大化するって寸法よ。」
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