第1章

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ドゴン! と、凄まじい音と衝撃により杉谷の思考が途切れる。 無数の鉄球が杉谷の体に激突した音だ。 「ぐ、がッあああ!!」 はっぴ男も無理な体勢からだったため、コンクリートを砕くほどの勢いは無かったが、それでも全身を金属バットで殴られたような鈍痛が杉谷の体を駆け巡る。 数メートル後ろに吹き飛ばされた杉谷は硬いアスファルトの上を何度か転がりようやく停止する。 明滅する意識を振り切り、何とか立ち上がろうとする杉谷に、はっぴ男が呆れたように声をかける。 「お前、何考えてんだ。お前がそこの魔装具と出会ってから半日もたってねぇだろ。そんな奴のために体を張る理由がどこにある? 」 はっぴ男の言う通り、杉谷とランプの少女は今日出会ったばかりの希薄な関係だ。ボロボロの体を引きずってまで、常識の埒外に立つ相手に相対するほどの理由が無い。 が、それでも杉谷は立ち上がる。
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