第1章

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もちろん俺が発したわけではない、だとすると一体どこから? 答えは自分の手の中にあった。 これ、だよなぁやっぱり。 思いつつ手に持つランプに視線を落とす。それは先ほどまでと変わらず銀製品特有の輝きを放っている。おそるおそるもう一度蓋に手をかけ今度は少しひねりを加えながら指先に力を込める。 「…………んくっ…………ふぁ」 何かをこらえる様な喘ぎが再度ランプから聞こえてくる。 おいおい、なんだこれ。何か変な気分になってきた。心の中に芽生えた邪な感情に後押しされるがままに両の手でランプを弄ぶ。 「…………ちょっ…………やめ…………ッ」 調子に乗った俺はいつの間にかランプの発する声がただの反応ではなく、言葉になっていることに気づかず側面の宝石をなぞるように爪でかりかりひっかいてみた。 「ひ、ひゃんっ――――この、いい加減に…………しろぉぉおおおおおおおおおおッ!」
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