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  「俺は好きに生きる。だからお前も好きに死ね」  渡り鳥は自由だと思うか。否。定住という自由を選べない脆弱な身体。それは立派な枷なのだ。 「独り善がりのこの世界。お前がこの世を〝そう〟だと諦めるなら、覚悟しろ」 「覚悟?」  自由とは何なのか。陳腐でチープな質問だ。誰もが求めるものでありながら、誰も納得のいく説明ができない。聞こえ良く人を渡っていく厚みのない言葉。 「独り善がりは、孤独だぜ」  拮抗していた状態から鉄パイプを振り抜く。金属同士の衝突が鼓膜を激しく揺さぶり、甲高い鉄の鳴く声が倉庫に響いた。 「誰にも期待せず、誰も信じず。人と交わることを避けられないこの世界でそれは致命的だ。だから、覚悟しろってんだ」  右腕は振り切った直後で動けない。身体を捻り、左腕を頭めがけて振るう。 「覚悟……」  再度、五月蝿い金属音が響く。クロスした鉄パイプに頭への一撃は止められた。 「馬鹿だな……」  止められた、のではなかった。  クロスしたまま身体を捻り、攻撃を受け流される。クロスは鋭角に近い、左のパイプは上手く挟まれていた。  そのままパイプを滑らせ身体を狙ってきた。 「何もしなくたって、俺は独りじゃないか」  その目は渇いて、  笑っていた。 「……馬鹿はお前だよ」  右手の鉄パイプを、頭に振り下ろした。
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