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シュウの微笑みは、怪しい笑みに変貌していた。
「うおらっ!」
まず1人の不良がシュウに殴りかかる。容赦なく顔面を目指す拳を、リユスは片手で受け止める。
止めた拳をそのまま握り潰した。
「ぎゃあああああああ!!」
その絶叫に、別方向から走り寄ってきた不良達が怯むのをシュウは見逃さない。拳を握ったまま振り回し、向かってきた不良に投げつける。
折り重なって倒れる2人を一瞥すると、すぐさま狙いを変える。2メートル程離れたところにいた男との距離を一瞬で詰め、ボディーブローを叩き込む。肋の折れる感触を確かめながら、拳を捻って押し込んだ。
「ガッ……は……」
飛んでいった不良は転がり、服に汚い砂をまぶして白目をむいて止まった。
シュウは止まらない。自分に飛んできていた一斗缶を殴りつけ、方向転換そして加速。別の不良の顔面へと見舞う。投げた不良は余程近距離から投げたらしく、シュウにすぐさま距離を詰められ、膝蹴りを顎に喰らい、一発で伸びた。
「さあほら、後4人だよ。どんどん来なよ!」
シュウは微笑む。それはいつもと変わらぬ微笑み。声は張り、言葉は煽るが、シュウの笑顔は変わらない。
「い……行け! お前ら!」
柿谷を除く残りの不良が一斉にシュウに向かい地を蹴る。迷いのある走りはシュウには格好の的でしかない。
「ありがとう。手間が省ける」
瞬く間に蹴り倒された不良達。
最大の敗因は、シュウに喧嘩を売ったこと。
リユス=ファレルに喧嘩を売ったことだ。
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