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「ふふっ、一体何したんだい?」
「わかんねぇ。とにかく起きたら動けなくなってたんだとよ」
「面目ない……」
本当にピクリとも動けなくなってしまったので、とりあえずリユスに来てもらった。リユスが寮暮らしで助かった。
「アイク君。その額の傷はなんだい?」
「ミドナが動いていたころの最後の証」
「人を脳死状態みたいにすんな」
とは言っても洒落にならない。脳死ではないけど、全く動かない。かろうじて首から上が動くくらいで、身体はまんじりとも動かない。え? 全身麻痺?
「痛ってぇ!」
「あ、感覚はあるんだね」
「本当に身体は動かねぇんだな」
首から上だけが痛みで跳ね上がるという滑稽極まりない様を晒す。リユスが皮膚を超少量摘み上げていた。痛い! 痛いを通り越して熱い!
「で、僕を呼んだんだね」
「ああ、ミドナを強制送還してほしい」
言い方なんとかしろ。そしてリユスは許さない。
「今日一応学校あるからね。男同士とは言え、アイク君だって見られたくない秘密の一つや二つ、この部屋にあるだろうし」
「ねぇよ」
「例えばこのタンスの一番下の引き出し裏に」
「やめてぇぇえええええ!!!!」
あんのかよ。ベタだなオイ。
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