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学校というのは時たま不条理に、そして不合理に時間と行動を束縛する。劣悪な環境に我らを押し込め、念仏のような冗長不快な訓話を有り難迷惑にもひけらかす拷問を彷彿とさせるイベント。むしろ拷問である。
尻骨の叫びをグッともみ消し、色とりどりのテープが走る床に鎮座する。全校生徒が一堂に会する一見仰々しいこのイベントに、一体何の意味があるのか。尻骨が被る被害と同等の利を所望する。
校長の話は長い。まことしやかに囁かれるそれは何の都市伝説でもなくただあるがままの現実だ。全校生徒の顔と名前も一致していないであろうその人は、何を思って話を作り、ひけらかすのか。
頭頂部はすっかり黒を失い、側頭部にのみ辛うじて髪の残る、ちっこい校長は淡々と話を続けた。
(そういえば、カスミ来てんのかな)
暇な俺はざっと辺りを見回す。金髪を探してみるも、ぱっと見た感じでは見当たらない。座ってるせいで周りは見辛いし、もしかしたら一時的に黒髪にしているのかもしれない。
うーん。
『一同、起立!』
ちょっと探そうかな。
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