ー波風立ててー

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   タンスを丸ごと一段引き抜くと、その下から数冊の聖書が姿を見せる。ベタな隠し場所だ。アイクが絶叫しながらそれを奪い取る。やれやれ、これだから脳筋は。           -Bible of adolescence- 「気にすんなアイク。〝僕らの青春白書〟くらいみんな持ってる。暗黙の上に俺達は生きなきゃいけない」  ーNeighborー 「〝監察者〟達の目をかいくぐりながらね。寮暮らしだと、少し甘くなる。君の弱さだよ」 「てめぇら何かっこつけてんだ!! これは違う! これはナキラから少し預かってるだけで……」 「あ、アイク。クラスメートのせいにするんだ。そういうやつだったんだ」 「良くないね。ナキラ君に悪いと思わないのかい?」  ぐぬぬと唸るアイク。顔は赤いが諦めた様子はない。あくまでクラスメートに責を押し付けるつもりか。やれやれ。  パチッとリユスとアイコンタクト。 「お仕置きが必要だね」  立ち上がる、リユス。  恥辱が始まる。 「例えば明らかに背表紙に違和感のあるこの教科書」 「ああ!!」 「本棚の奥。手前に雑に本を並べてカモフラージュかなこれは?」 「あぁあぁああ!!」 「あ、これは手が込んでるね。引き出しが二重底だ」 「あぁ゙ぁあ゙ああぁぁ゙あああ!!!」 「ここはセンスないよアイク君。調理器具は女の子が遊びに来たら使うかもしれない。シンク下の戸棚はやめておいた方がいい」 「あ……あぁ……もうやめ……」 「これは驚いた。こんな原始的な場所にもある。ベッドの下なんて、今時流行らないよ」 「アアアアアアアアア────」
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