第1章

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私は古典は得意だった。いつも90点以上は取れて当たり前だった。それなのに、科学の分野や数字の分野に行くとちんぷんかんぷんで、茜ちゃんを家庭教師にしないと高校も卒業できないのではないかと危惧した。 夜千ちゃんは数学の天才だ。何でも解いて見せる。そんな夜千ちゃんに魅力はあるけど、やはり、スポーツ少女の茜ちゃんには敵わない。 茜ちゃんは人一倍の努力家で勉強もスポーツも女子高生らしくエンジョイしていた。 女子寮と言えど、家の事情で帰らないといけない子もいる。私もその中に入る。私、日高雛(ヒダカヒナ)は鬼頭人生(キトウヒトミ)と荒殿奈江(アラドノナエ)に育てられた。 2人共、親というより、歳の離れた兄姉妹のようなものだ。人生は女の子にモテるよう気を使っているし、奈江は年下の男の子を捕まえては遊ぶ趣味があった。呆れてものも言えないとはこういうことを指すのだろう。 茜ちゃんの苗字は佐久間(サクマ)、夜千ちゃんの苗字は黒瀬(クロセ)になる。つまり、佐久間茜と黒瀬夜千が私の友達だ。 他に友達はいない。この女子寮、華園学園(ハナゾノガクエン)は人数が少なかった。余りにも田舎なのだ。もし、本当に鬼が村を葬っても、ゴシップ誌の1ページにもならないだろう。
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