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「何で雛さんが謝るのです?」
私は緊張して唾を飲み、俯く。理由なんて言えない。そうしている内に、茜ちゃんがゆっくりと近付いて来た。
「あ~あ、もう私の時代は終わりかな……」
茜ちゃんは鞄と一緒に両腕を持ち上げ、伸び伸びと背を逸らし、大きな溜息を吐いた。タップリとした胸元に自然と目がいく。Dは余裕でありそうだ。
「私達2年でしょ?だけど、あの子侮れないわ」
夜千ちゃんが気分を害した様子で尋ねる。
「仁村さんね?」
「もううちの学校、転校生は変な子ばっか!」
私は少し慌てた。
「わ、私、変な子かな?」
「雛はとびっきりの美少女よ」
茜ちゃんがニヤリと笑い、私の頬をさすった。
「や、やめてよぉ、茜ちゃん」
小悪魔な笑みを張り付けていた茜ちゃんが真顔で話し出す。
「2年が1年に16対7でボロ負け。敗因は何だと思う?」
私はオドオドと切り出した。
「ま、まさか、に、仁村さんがキーパーやってたの?」
茜ちゃんの猫目が鋭く私を見通す。茜ちゃんが声を落とした。
「噂だとあの子、霊感が強くて予知能力が備わってるらしいの。代々から受け継がれた巫女の末裔ですって」
私はますます怖くなってきた。人生と奈江があんなのだし、どう考えても、初日から人間でないことがバレていた。
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