第1章

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〝石の目〟は奈江からもらった能力だ。他にも使える能力があるけど、ここは一旦、茜ちゃんと夜千ちゃんとのガールズトークに耳を澄ましたい。 「……って、あれ?雛、聞いてる?時々、あるのね、雛の意識が吹っ飛ぶの」 私は慌てる。 「ご、ごめんね。ただ、狼が近くにいたら、怖いなぁと思って……」 「もし、来たら私が蹴り上げてやるわ、サッカーボールみたいに!」 夜千ちゃんが優しい笑みを浮かべる。 「狼さんは茜さんの方ですよ」 今日、2回目のもうっという言葉が茜ちゃんの口から出た。 「夜千、あんま私に意地悪したら、雛をああしてこうしてするわよ」 「え、えーと……わ、私は構わないよ!」 夜千ちゃんが珍しくムッとして言った。 「ダメです。茜さん、雛さんにも人権がありますから……」 私は上目遣いで夜千ちゃんに目をやった。 「人権無かったら、わ、私、何かされるの?」 夜千ちゃんが私を見て、邪悪な微笑みを顔面に讃えた。 「無茶苦茶恥ずかしいことをさせますし、します」 自分の顔が火照るのが分かる。夜千ちゃんは何を言っているのだろう。冗談にしては、怖すぎる。 茜ちゃんが拗ねたように、夜千~と言った。 「私も愛されたいわ」 私は鏡で練習した極上の笑みを作って、茜ちゃんの頬に口付けする。
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