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〝石の目〟は奈江からもらった能力だ。他にも使える能力があるけど、ここは一旦、茜ちゃんと夜千ちゃんとのガールズトークに耳を澄ましたい。
「……って、あれ?雛、聞いてる?時々、あるのね、雛の意識が吹っ飛ぶの」
私は慌てる。
「ご、ごめんね。ただ、狼が近くにいたら、怖いなぁと思って……」
「もし、来たら私が蹴り上げてやるわ、サッカーボールみたいに!」
夜千ちゃんが優しい笑みを浮かべる。
「狼さんは茜さんの方ですよ」
今日、2回目のもうっという言葉が茜ちゃんの口から出た。
「夜千、あんま私に意地悪したら、雛をああしてこうしてするわよ」
「え、えーと……わ、私は構わないよ!」
夜千ちゃんが珍しくムッとして言った。
「ダメです。茜さん、雛さんにも人権がありますから……」
私は上目遣いで夜千ちゃんに目をやった。
「人権無かったら、わ、私、何かされるの?」
夜千ちゃんが私を見て、邪悪な微笑みを顔面に讃えた。
「無茶苦茶恥ずかしいことをさせますし、します」
自分の顔が火照るのが分かる。夜千ちゃんは何を言っているのだろう。冗談にしては、怖すぎる。
茜ちゃんが拗ねたように、夜千~と言った。
「私も愛されたいわ」
私は鏡で練習した極上の笑みを作って、茜ちゃんの頬に口付けする。
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