第1章

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「何度も言わせるな、幸世(コウセイ)」 「いつも不可能な課題を出す方が無茶苦茶というものだ」 「潤(ジュン)、幸世を連れて行け」 「幸世が嫌がっているなら、私は手を貸さない」 「ならば、相羽(アイバ)か」 「私はただ言われるがままに行動はするが身内同士の戦いに興味がない」 「つまらん絵画共め」 「貴方がつまらん気持ちで描いたからこうなったのだ。気付け、我が主よ」 「本当につまらん仕事ばかりだ。よりによってあの者共を敵に回さなくてはならないとは何たる失態」 「流石、主。分かっていらっしゃる。神も人間と同じで敵対している時が一番、楽しいのだ。ま、つまらんがな」 「どうせなら、そんな人を小馬鹿にしたような〝つまらん〟の連発より、現状を如何に楽しんでいるか分かるような〝つまらん〟を連発しては如何かね?」 「つまらんものはつまらんさ。だからこそ、スリルが寄って来る魔法の言葉だ。我が主よ、意味は分かるだろう?」 「つまらん日常は簡単に壊れる。そのために神の涙があるのだ。サウシャーロンは神の涙で宇宙になり、時の支配者になった。我が主は時の使い手であり、尊敬すべき人物ではない。もはや、人であるか怪しいのである」 「人が人であるための条件とは如何に……」 「依頼者が待っている。行け」
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