第1章

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茜ちゃんが私の唇から胸元までキスを重ねる。私は火照った体で目を閉じていた。茜ちゃんの囁き声が耳に木霊する。 「好きよ、雛」 私は咄嗟に茜ちゃんに抱き付いた。 「私も茜ちゃんのこと……」 何とか声を出す。 「好き」 息が苦しく、それが気持ち良い。喘いだり、我慢したりしている内に思わず、内心隠していた言葉が出て来た。 「この世で一番、茜ちゃんが好き」 吃らず言えた。一瞬、嬉しくなる。けど、突然の激痛に気がそれる。茜ちゃんが鎖骨を噛んだのだ。 私は、泣きそうになりながら、茜ちゃんに訴えた。 「あ、茜ちゃん、痛いよぉ……お願い……離して」 ポニーテールが揺れている。 茜ちゃんは毎日30分かけてポニーテールをセットするようだ。ヘアワックスとかがいると前に聞いた。 茜ちゃんは逃れようとする私の手首を掴んだ。そして、そのまま、爪を食い込ませる。 「い、痛いよぉ、あ……茜……ちゃん?」 茜ちゃんは狂ったかのように呟いた。 「雛、雛、私の雛。もう解放してあげるからね」 グイッと引き寄せて、茜ちゃんが、私の首筋を噛み付く。焼け付くように痛い。そして、甘美だった。 私は悲鳴をあげながら、夢の世界から目が覚めた。
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