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茜ちゃんが両手を合わせ頭を下げる。
「悪い!私、化学の先生から目付けられてんのね。雛、あなた、教室、別?」
「えーと……次の時間、私、体育」
私は嘘を吐いた。
じゃあね、と声を掛け合うと、夜千ちゃんもフラフラとどこかへ行く。
茜ちゃんは3階の化学教室に向かっていた。
1人、2A教室に残された私は、しばらくその場に佇み、中庭を潜って保健室に向かった。途中、ショートの髪を緑色に染めた女の子とすれ違った。
「アンタが何者か分かってる。〝呪われた子〟ね」
私はハッとした。
「だ、誰?」
私の上ずった声を面白がるようにその女の子はニヤついた。
私は思わず、後退りする。
「わ、わ、私の何を……知ってるの……?」
「狐と蛇の匂いがする」
私は混乱した。まさか、人生や奈江がバラす訳ない。きっとこの子は、霊感が優れているだけだろう。
それでも、私の中の不安は膨らんだまま、消えることはなかった。
「仁村麻緒(ニムラマオ)」
茜ちゃんが屋上で弁当を食べながら教えてくれた。タコの形をしたウインナーだらけの弁当で自作なのがよく分かった。
私はいつも通り、コンビニのツナマヨおにぎりだ。
夜千ちゃんはホットココアを大事そうに飲んでいる。料理が得意なのに、昼は食欲が湧かないからいつも自販機のホットココアで昼飯を終わらせることにしているらしい。
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