第1章

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「何か知ってるの?夜千ちゃん」 戸惑っている私を夜千ちゃんはギュッと抱き締めた。ふんわりとしたコロンの香りが大人を思わせる。 茜ちゃんがその時、とてもまるで泣きそうな顔をしていたのを覚えている。 茜ちゃんの方から話始めた。 「この村ではね、稀に神社を破壊する〝呪われた子〟が産まれるの。その子は今の私達と同じ歳ぐらいまでに始末しないと鬼を永遠に生かす化物になるのよ」 私は怯え切った。 「お、鬼って何……?」 「村を破壊する化物よ。簡単には〝呪われた子〟も鬼も殺すことはできないわ。〝呪われた子〟が死んだ時、鬼も死ぬ。多くの人が〝呪われた子〟と認めた子供が殺される」 私は肩にある六芒星のマークを意識した。これを見られたら、殺されてしまうなんて……。だから、奈江がよく絶対他人に裸を見せないよう言っていたのか。 私は知らない内に震えていた。 「わ、わ、私、何で今まで知らなかったんだろう……?」 茜ちゃんに抱き締めて欲しかった。なのに、茜ちゃんは拗ねたように私と夜千ちゃんを見る。お似合いカップルですね、と言わんばかりだ。 「わざとこの歳まで泳がすらしいわよ。鬼は自分でも鬼だと気付かないから、信者が集まってから本番って訳ね」
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