運命の輪 THE WHEEL OF FORTUNE

23/24
前へ
/245ページ
次へ
 驚くわたしに、彼はダメ押しをするように言った。 「参ったな~~彩乃ってば、マジ俺のタイプかも~~  なぁなぁ、誰にだって、何事にも初めてって時あるんだから、そう意地張るなよ~~  ぜ~~んぶ俺に任せてくれたらさ。  最初っから天国見せてやるから……」  初めてだって見透かされた!!  そう思ったとたん、とうとう私の中の、何かがプチっと音を立てて切れた……気がする。  反射的に、イケメン男を殴ろうとして、振り上げた手をぱしっと簡単に掴まれる。  わたしは、明らかに殴りつけようとしたのに、そいつは、怒るどころか感心した顔になった。 「うひょ~~元気だね~~  この俺に向かって、例え未遂でも手ぇ上げる女なんて初めてだ」 「何変なところで感心してんのよっ!  変態! 莫迦! アホ! 間抜け!」 「あっはははは~~」  今更子ども同士だって言わないような悪口の、一体何が楽しいんだか!  シャッターの降りた真夜中の街全体に聞こえるような、楽しげな笑い声をひとしきり響かせて、イケメン男は言った。 「彩乃ってば、マジ、好み!  また、近いうちに会おうぜ?」 「会わないわよ!」  わたしはちゃんと言ったのに、彼はちっとも聞いちゃいなかった。
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!

411人が本棚に入れています
本棚に追加