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驚くわたしに、彼はダメ押しをするように言った。
「参ったな~~彩乃ってば、マジ俺のタイプかも~~
なぁなぁ、誰にだって、何事にも初めてって時あるんだから、そう意地張るなよ~~
ぜ~~んぶ俺に任せてくれたらさ。
最初っから天国見せてやるから……」
初めてだって見透かされた!!
そう思ったとたん、とうとう私の中の、何かがプチっと音を立てて切れた……気がする。
反射的に、イケメン男を殴ろうとして、振り上げた手をぱしっと簡単に掴まれる。
わたしは、明らかに殴りつけようとしたのに、そいつは、怒るどころか感心した顔になった。
「うひょ~~元気だね~~
この俺に向かって、例え未遂でも手ぇ上げる女なんて初めてだ」
「何変なところで感心してんのよっ!
変態! 莫迦! アホ! 間抜け!」
「あっはははは~~」
今更子ども同士だって言わないような悪口の、一体何が楽しいんだか!
シャッターの降りた真夜中の街全体に聞こえるような、楽しげな笑い声をひとしきり響かせて、イケメン男は言った。
「彩乃ってば、マジ、好み!
また、近いうちに会おうぜ?」
「会わないわよ!」
わたしはちゃんと言ったのに、彼はちっとも聞いちゃいなかった。
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