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イケメン男は、めげず勝手に言葉を紡ぐ。
「そう言えば約束の『diavolo(ディアボロ)』の意味、教えなくちゃいけないんだっけ?」
「もう、いいわよっっ!!」
そう、心から言ったのに!!
そいつは、さっさと胸ポケットから細いサインペンを取り出し。
次に、書かれるモノを探し……
すぐに、懐からタロットカードの存在に気がつき、その一枚にさらさらと何かを書いてぴっと投げてよこした。
「悪い。
丁度、今、遊び用の名刺を切らしててな、代用。
気が向いたら、メールでも電話でも……」
「遊びですって……!? しないわよっっ!」
飛んで来たモノを反射的に、つかんではみたものの。
そのまま、見ないで投げ返そうと思えば、イケメン男は、もう、かなり遠くの歩道から、手を振っていた。
「莫迦~~!
も~~信じられない!!」
わたしの叫び声が届くか、どうか。
どうやら、投げて返すには、既に遠すぎ。
捨ててしまうには、キレイ過ぎるタロットカードの絵は『THE DEVIL』。
世にも不吉な『悪魔』のカードだったんだ。
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