白衣の天使とイケメン医師の微妙な関係

4/19
前へ
/245ページ
次へ
 そう、本日何回目かのため息をついた時だった。  斜め後ろから声をかけて来たヒトがいた。 「まあ、鈴原さん。  準夜勤明けの日勤なのに、一度自宅に帰ったの?  大変ね~~お疲れさま~~」  な~~んて、ちっとも心がこもって無い挨拶!  昨日みたいに、午前0時をもって交代する準夜勤と、日勤の間は、残業が待ってなくても、八時間半しか無い。  だから少しでも帰りに手間取ると、最終電車が行っちゃうので、普通、病院の地下の仮眠室を使うヒトが多いけど。  わたしは、家が近い上。親との約束でいちいち、面倒でも、自宅マンションに帰ってた。  それを捕まえて、お嬢様は、庶民のベッドじゃ眠れないのね~~?  とでも、嫌みを言いに来たのに違いない。  返事なんて一つもしたくなかったけれど、ここは、大人だもんね。  にこやか笑顔で、振り返り、なるべく元気に「いえいえ、今日も頑張ります」なんて、挨拶を返し。  その相手が、誰か判って、げっ、と心の中で、息をついた。  
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!

411人が本棚に入れています
本棚に追加