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「お゛ばよ゛う゛ござい゛ま゛ず」
タバコの煙がケムくてケムくてしかたなく。
目を瞬かせながら挨拶をすれば、先に来ていた看護師達がほぼ全員。タバコを片手に、コーヒーを飲んでた。
そして、煙にむせるわたしに向かって、げらげらと笑う。
「「これだから、お嬢さん育ちは弱いのよねぇ~~」」
……って、それ、全く関係なくない?
世間一般では、こぞって禁煙って叫んでるのに!
小銭を持っている上。
ストレスたまるのよねぇ~~って言うのが合言葉の看護師たちに『禁煙』のふた文字は無い。
いくら、一箱のタバコの値段が上がろうとも、ほとんど全員が吸いまくり、『分煙』を訴えるには狭すぎる休憩所は、壁紙でさえも黄ばみ果てるほど大変なことになっている。
これ。
別に、育ちがどうって言う以前の問題のような気が……
タバコを吸わない人間にとっては、普通になんとかしてほしいレベルだと思うのに、誰も聞いちゃくれない。
もはや諦め、出来るだけ煙の来ない窓の下。
皆から少し離れた定位置に座れば、先に来てた看護師たちが話を始めた。
さっき盛り上がっていたヤツの続きらしい。
「……でさ。
今のウチの院長が、早期退職するじゃない?
そんで、次の院長が、すごいらしいのよ~~」
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