運命の輪 THE WHEEL OF FORTUNE

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「さようなら」  わたし、思い当たった危険の元に、あっさり背を向けた。  どうやら、わたしが自分に興味をなくして、家路を急ぐ気になったのをいち早く察したらしい。  イケメン男は、わ~~まてまて、と騒がしく引き止める。 「なんで、逃げるんだよ!」 「わたし、プライベートでは、医者と患者とホストには、近づかないって決めてるのよ!  あなた、ホストでしょう? さようなら」 「ちょっと待てよ! なんで、医者と患者とホストはダメなんだよ!」 「医者は、当直だの遅番だの不定期で、忙しいでしょ?  仕事をしてんだか、どっか知らない女のヒトの家に潜り込んでるんだか、わかんないからよ!  患者さんは、すぐ死んじゃうし!  ホストも女性関係サイアクなくせにお金にも汚いでしょう!?」 「うぁ、偏見~~」 「うるさいわね!」  看護師なんて。普通のOLとは違う、働く時間の不定期な職業についた女は、実は哀しい。
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