410人が本棚に入れています
本棚に追加
/245ページ
そんな『仕方がないから』言ったはずの言葉なのに。
近藤先生は、うるるるっと目が輝いた……ような気がする。
「すまん~~ 助かる~~」
近藤先生は、わたしの手をがしっと掴むと後はよろしく~~と言ってふらふらと薬品庫から出て行った。
うう~~
何だか、近藤先生、ぼろぼろな感じ?
近藤先生は、三十代前半ぐらいだ。
かなり優秀なヒトで、医科大学とかも浪人なしストレートで入って、留年もなく、順調に医者になった以上。
新人って言うには時間がたち、フツーならもう少し勤務時間に余裕が出来るもんだっておばさん看護師さん達が言っているのを聞いてたけど……ナニやってるんだろう?
……やっぱり咲先輩との結婚、離婚騒ぎが元なのかな?
いやいや。
咲先輩とのうわさが流れる前から先生はこんな感じだったっけかな?
でも、そんな答えは、近藤先生本人しか知らない以上。
全くの他人なわたしには、考えるだけ無駄だ。
わたしは小さくため息をついて、自分の仕事を再開し始めた、その時だった。
『事件』がわたしの目の前に転がり込んで来たんだ。
最初のコメントを投稿しよう!