悪魔さまのお気に入り

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  「いたいたいた!  鈴原さん! 探したのよ!」  ……へ?  わたしは、フツーに薬品庫で本日のお仕事、輸液の用意をしていただけなのに。 「あんた、今までドコで何をしてたのよ!」的な剣幕に驚いて、見れば。  この病棟では、絶対会わないはずのヒトが、わたしの手を取り、薬品庫から引っ張り出し……  ついでに、そのまま勤務場所の外科病棟から連れ出すような勢いで、どかどかと歩きだしていた。 「ちょっと、咲先輩! 何事ですか!?」  割り当てられた仕事がある以上、勝手に持ち場を離れるわけには行かない。  困って言えば、咲先輩は外科病棟の婦長には、もう断っているから早く来て、と強引に引っ張った。 「立花記念病院、存亡の危機なのよ!  とりあえず、今日は鈴原さん、一時的に特別病棟のヒトだから!」 「はい?」  更にワケの判らない事態にクビを傾げてとまれば、咲先輩がわたしの肩をがしっとつかんで振った。
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