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「今日!
突然、ウチの特別病棟に、泊まり掛けの健康診断目的で、入院して来たヒトが居るのよ!」
「……はあ」
他の病院ならともかく、ウチの病院は、時々エライヒトが突然入院して来る。
もちろん、表向きは『病気』なんだけども。
実際は世間様に顔向けできないことをやらかして、一時、マスコミから雲隠れする隠れ家代わりに使われるんだ。
そんな関係上、予約無しでも泊まり掛けの健康診断が出来るシステムがばっちり整っている。
だから、突然。特にエライヒトたちが入院する特別病棟に、そんな入院者が入ってもまったくおかしくないのだけれど……
今日の咲先輩の目は、スワってる。
「その健康診断の方 って言うのが、今度立花記念病院に、資金を出す企業団体の責任者の一人で……
もしかしたら、この病院の次の院長になるかもしれないって噂の人なのよ!」
「……つまり、それは……」
イヤな予感に、自然と眉が寄る。
すると、咲先輩は、その通り、と頷いた。
「『健康診断』の名目で、ウチの病院を視察に来たみたいなのよ!」
うぁ。
やっぱり~~
ほとんど抜き打ちっぽく『視察』に来るあたり。
次の院長先生は、積極的に経営に取り組むつもりだろう。
……じゃなかったら、相当性格が悪いヒトだ。
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