悪魔さまのお気に入り

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 クビを傾げるわたしに、咲先輩は肩をすくめた。 「あなたに病棟案内をしてほしいって指名が来てるのよ!」 「は?」 「立花記念病院、外科病棟勤務、鈴原彩乃さん二十五才に、今日の健康診断の担当と病棟案内を頼むって!  あなた、名指しで次期院長に指名されてるの!」 「……へ? 名指し……ですか?」  しかも、年齢つきって何よ!!  驚くわたしに、これだから、お嬢様は違うわよね~~  なんて、咲先輩はうらやましそうに言った。 「あなた、国際的なセレブのパーティかなんかで、挨拶でもしたんじゃない?」 「わたしは別に、そんなパーティなんかに出た覚えはないですよ!」  わけのわからなかった子ども時代ならともかく。  大人になってからは、親についてパーティだの、俗にいう上流階級さまへの挨拶周りとかって、ぜんぜんしてないよ?  だって、わたし。  別に何か事業を起こすつもりも、お金持ちのどっかの家に嫁に行く気もないし。  看護師として、普通~~に働いて、ただ、平凡な一生を送るつもりなんだもん。  だから、きっぱり否定すれば、咲先輩は、首をかしげた。 「本当に覚えない?  アルフィオ・ディアーノっていう、イタリアではちょっと有名な資産家一族の一人だってよ?」  え?
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