悪魔さまのお気に入り

6/19
410人が本棚に入れています
本棚に追加
/245ページ
 ディアーノ!?  わたし、やっぱりそんなパーティとか知らない。  けれど『ディアーノ』って名前には覚えがあるような気がして……はっと思いだした。  あの、手の速い占い師見習い!  タロットカードの『悪魔』に『ディアーノ』って落書きしてなかったっけ……?  でも、確か。  カードには『翔』って思い切り日本語らしい漢字が名前の部分に書かれてた。 『アルフィオ』なんて、いかにも外人らしい名前ではなかったはず。  判らない状況に首を傾げれば、咲先輩が考えるのは、あとだからね! ってわたしの手を引いた。 「向こうさんがなんで、鈴原さんの名前を知ってるか、なんて判らないけど!  あなたの行動次第で、病院の未来が変わるのよ!!  私たちのお給料のためにも、しっかり頑張ってね!!!」 「そんなむちゃくちゃな……!」  なんて、わたしの声なんて、咲先輩は聞いちゃいなかった。  妙にテンションの高い彼女に、ズリズリ引きずられるように病棟から引っ張りだされて、わたしは、すっかり忘れてた。  包帯交換前に、近藤先生を起こす約束、なんて……  
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!