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西尾さんが言った言葉は、さすがとしか言えなかった。
いや……趣味が役に立ったと言うべきか、変態が活きたと言うべきか。
「姫ちゃんの学校に行って、個人情報を聞き出す」
そう言った時は、何を馬鹿な事をと思ったけど……まさか制服一つで、二つ隣の町にある女子校の三年生という事まで特定出来るとは。
まだうろついている、蟲付きの人達から身を隠しながら西尾さんの家に戻り、例のスポーツカーに乗って、女子校に行こうと言うのだ。
「ん?何だこの匂い……って!あのクソオヤジ……車の中でタバコを吸うなって言ったのに!しかも吸い殻が!ああああっ!!」
女子高生以外の事で、頭を抱えて悶える西尾さんなんて初めて見た。
何だか、普通の人を見ているようで安心する。
「ま、まあ良い。文句は後で言えば良いからね。すぐに行って、天使姫の住所を突き止めようか」
「あ、うん。でも、姫ちゃんの住所を調べてどうするの?蟲の主は……響さんなんだよね?姫ちゃんは関係ないよ?」
西尾さんの性格からすると、女子高生を人質に取るなんて事はしないだろうけど……別の意味で心配な事はあるよね。
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