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西尾さんの運転する車に乗り、二つ隣の町の女子校に向かっていた。
車の中では、西尾さんがサングラスを掛けて、チラチラと私を見ている。
「な、何……?私の顔に何か付いてる?」
必要以上に私を気にしている様子で、笑顔を浮かべているけど、それが少し不気味に見える。
「音彩ちゃん、遠慮せずに惚れても良いんだよ?あ、でも、運転中に抱き付くのはやめてほしいかな?俺の大切な天使が怪我をするといけないからね」
そう言ってサングラスをずらし、パチッとウインクをする。
「はいはい、ないから。ほら、前見なきゃ危ないよ?」
本当に怪我をするといけないと思ってるなら、脇見運転はしないでほしいよ。
「お、おかしい……スポーツカーを運転している男はモテると聞いたから買ったのに!!……いや、きっと照れているんだね。抱き付けない代わりに、手を繋いであげるよ」
「丁重にお断りさせて頂きます」
西尾さんの場合、人間性の問題なんだよね。
外見はかっこ良いし、言う事ないんだけど……中身がこれだから、知れば知るほど幻滅しかしない。
この後も、西尾さんの誘いをことごとく潰して、私達は二つ隣の町へと走った。
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