2166人が本棚に入れています
本棚に追加
「え?え?な、何で家の中に……」
何がどうなって、家の中にこの人がいるのかわからないけど、抱き寄せられて私は、妙な安心感に包まれていた。
「さて、音を出してくれたおかげで俺でも場所はわかるな」
そう呟き、腰に付けられた棒を取り出し、一振りするとそれが伸びる。
三段式の……警棒?
「どんな幽霊かわからないけど、ハゲたおっさんである事を祈るぜ!」
「まだ階段の下にいます!」
私が指差した場所に、警棒を振り下ろした西尾彰。
それが幽霊に接触すると同時に、バチバチと放電しているかのような現象が目の前で起こる。
そして、幽霊の身体を警棒が叩き割って床に触れると同時に、ホームで蟲がそうだったように、四散して空気に溶けたのだ。
「……き、消えました。もしかして、やっつけたの?あなたは……何者なんですか?」
正直、何が起こったのかわからない。
普通の人間にこんな事が出来るとは思えないし、だとしたらこの人は一体……。
警棒を縮めて腰に装着すると、前髪を掻き上げて、フッと笑い、私達を見下ろして呟いた。
「俺は除霊師、西尾彰。キミ達のような天使を守る男さ」
これが、ただの変態じゃない西尾さんとの出会いとなった。
最初のコメントを投稿しよう!