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雫ちゃんの家で起こった幽霊騒動。
私はあの時、幽霊に襲われて、西尾さんに助けられたけど、玄関には鍵が掛かっていたのにどうやって家の中に入ったのか。
「お風呂場の窓が開いていたからね。ちょっと位置が高かったけど問題ない」
などと、悪びれた様子もなく平然答えた。
例の人形は、西尾さんが知り合いに送ると言って持って行ってくれたおかげで、それ以来雫ちゃんの部屋に戻って来る事はなかった。
幽霊と人形……どんな繋がりがあったのかは、今となってはわからない。
西尾さんがいなければ、私達はあの幽霊にやられていただろう。
それがわかっているから、雫ちゃんは西尾さんの住居侵入を大事にはしなかった。
……と、言うよりも。
「西尾さんってかっこ良いよね。『俺の後ろに隠れているんだ』とかさ、あの顔じゃなきゃ言えないよ」
雫ちゃんは、あの一件で西尾さんに惚れてしまったらしく、学校帰りに会う度その話。
「か、かっこ良いのかなあ?確かに助けてもらったけどね、でもあの人、性格は絶対に歪んでるよ」
あれから二週間、雫ちゃんの家を知られて、しつこく付きまとって来るかと思われた西尾さんは、一度も姿を見せていなかった。
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