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「ちょっと音彩ちゃん。関わらなくて良い事に首を突っ込むの、悪い癖だよ」
私の制服の袖をグッと引っ張り、不安そうに耳打ちをする雫ちゃん。
「おお……こっちも超プリティ。腐れ落ちた吐き溜めに舞い降りた天使達が、俺の無実を証明してれるなんて!」
「そんなわけないでしょ!私の後ろにいたのはこいつなんだから、こいつが犯人に決まってるでしょ!」
話している男性を押しのけて、私に近付く女性。
その顔は、男性の無罪を証明しようとした私を排除する為に、凄まじい形相で睨み付ける。
「いや、あの……で、でも……あれ?」
女性の圧倒的な迫力に負けて、作り笑いをした時。
その肩に、白い糸のような物がひょろっと飛び出しているのを見付けた。
糸……にしては少し太く、それなのに風になびいてるような。
「肩に何か付いてますよ?ほら、これ……」
と、肩の糸に手を伸ばしてみると……それは掴めなくて、するっと手を通り抜けたのだ。
あ、これ……糸じゃなくて、「霊体」だ。
昔から私には、目に見えないモノが見える。
これもその一つなんだと今気付いたけど、私は「見える」だけで、どうする事も出来ないのだ。
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