黒い変態との出会い

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こういう事は、たまにある。 そして、こうなった時は決まって、相手が怒るのだ。 「誤魔化そうとしてるんじゃないわよ!私はね、この変態を警察に突き出すんだから、部外者は黙ってて!」 その剣幕に、私も雫ちゃんも身をすくませた。 雫ちゃんの言うように、変な事に首を突っ込まなきゃ良かったと、後悔しそうになった時だった。 「……その糸って、この辺りにあるのかな?どう?」 怒る女性の肩の上で手を握って、さっきまでとは違った真面目な表情で私に訪ねた男性。 「え?あ、はい。今掴んでますけど……」 私がそう答えると、ニヤリと笑みを浮かべて、その糸を一気に引き抜いたのだ。 女性の肩から、ズルリと何かが引き抜かれる。 それは、本来普通の人には触れる事が出来ないはずのモノなのに……この男性は、容易に掴み、引き抜いたのだ。 「……あ、あれ?私、何を……って、こんな時間!?会社に戻らなきゃ!」 霊体を抜かれて、女性は今までの出来事を全く覚えていないといった様子で、慌てて改札を通って行った。
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