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私を素通りし、女の子の隣で片膝を突いて、腕を広げた西尾さん。
「ふっ……ざけんな!」
見た目通り、少しきつそうな女の子が、容赦なく西尾さんの股間を殴りつけた!
瞬間、西尾さんの顔が、今までに見た事もないような苦悶の表情へと変わる。
「あーっ!あーっ!!」
股間を殴られ、唸る事しか出来ない様子で地面を転がる。
……まあ、自業自得だよね。
「おおう、おおう……何て、おてんばな天使なんだ!でも、これが愛の痛みなら耐えよう!」
あんな事をされてもまだ何か言ってるよ。
ちょっと乱暴そうに思えた女の子だけど、私を起こしてくれた男性に視線を向けて、ぷくっと頬を膨らませてから口を開いた。
「……響(ヒビキ)、私も起こして」
私を先に起こした事を嫉妬しているのか、男性に手を伸ばして、女の子は恥ずかしそうに俯いた。
「やれやれ、仕方ないな姫は。いつまで経っても甘えん坊なんだから」
「う、うるさいな!」
そう言っていても、嬉しそうに男性の手を取る女の子。
「姫……姫だと!?天使を姫と呼ぶなんて恥ずかしいやつめ!!お前には常識という物がないのか!!」
股間の痛みに耐えながら、何とか起き上がって、西尾さんが男性を指差して怒鳴った。
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