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この二人が許嫁だと知った途端、西尾さんの手が震える。
「き、貴様っ!青少年保護法の存在を知らないのかゲス野郎!!」
その言葉をそっくりそのまま返したい!!
なんで西尾さんがそんなセリフを言えるの!?
明らかにおかしいでしょ!
「バーカ!響は、私が高校を卒業するまで待っててくれるんだよ!あんたみたいな変態とは違うの!」
姫ちゃんが、西尾さんを挑発する。
「やめなさい。それよりキミ達、急いでるようだったけど……大丈夫なのかい?」
男性にそう言われて、私は慌てて人魂を探した。
だけど……もう、どこにも人魂と悪霊の姿はなく、痕跡も消えていたのだ。
「あ……ああ。西尾さん、完全に見失ってしまいました」
あの人魂を追って行けば、主の所に辿り着けるかと思ったのに。
結局、何も得られなかったと、私は肩を落として溜め息を吐いた。
「俺も、新たな天使の出現に、自分を見失ってしまいそうだったよ。でも泣かないで。キミという天使の存在を忘れはしないから」
響さんにナンパはしないでと言われたのに、この人は何も思わないのかな。
とりあえず二人に頭を下げて、私は人魂が去った方向へと、西尾さんを引っ張って走った。
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