危険な夜

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西尾さんに散々な事を言われた女性……そして、殴られて気絶した彼氏が立っているように見えるけど……。 男性の手が、女性の首を絞め付けていたのだ。 「な、なんで……」 あれだけ仲が良さそうだったのに……どうして。 一瞬、わけがわからなかったけれど、その答えはすぐに見付かった。 首を絞めている男性の頭部から、20センチ程の蟲が憑いていたのだ。 「ちょ、ちょっと!何してるんですか!やめてください!」 夕方のサラリーマンに憑いていたような禍々しい蟲じゃない。 だから大丈夫……だなんて思ったわけじゃないけど、早く止めないと女性が危ないから。 二人に近付いて、男性の腕を掴んだ。 「うるせえな!!テメェにゃ関係ねぇだろ!!引っ込んでろ!」 怒りに満ちた目で私を睨み、手を振り払うと共に、私の頬を叩いたのだ。 「あうっ!」 声が漏れて、よろめいた私は地面に倒れ込んだ。 「テメェはいつもいつも、わがままばっかり言いやがって!死ね!テメェなんか死にやがれ!」 ダメだ……蟲に憑かれていて、我を忘れてる。 さっき会った時は憑いていなかったのに、どうして……。
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