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「音彩ちゃん、痴話喧嘩だったろ?ブサイク同士の痴話喧嘩なんて見苦し……って、音彩ちゃん!!」
いちご牛乳を飲みながら、のんびりと曲がり角から現れた西尾さんが、倒れている私を見て、持っていた缶を落とした。
中身が入っているような鈍い音が響き、西尾さんの表情が見る見る険しくなって行く。
「俺の音彩ちゃんに何してんだコラァッ!!」
叫ぶと同時に、凄まじい速さで男性に接近する。
そして、一瞬グッと身を屈めたと思うと、次の瞬間には飛び上がって男性の顔に蹴りを放った。
激しく仰け反る男性の身体。
女性の首から手が離れ、男性は弾かれるように後方に吹っ飛び、地面に転がったのだ。
「……って、誰が西尾さんのもの!?」
慌てて起き上がって女性を見てみると、地面に手を突いて苦しそうではあるけれど、無事なようで安心。
蹴られた男性は、何事もなかったように起き上がり、ゴキゴキと首を鳴らして西尾さんを見た。
「嘘だろ……音彩ちゃん、こいつもしかして……」
「あ、頭に蟲が憑いてるよ!」
でも、こんな短時間にあんな大きな蟲が憑くものなの?
他にも蟲がいたりしないか、辺りを見回した時。
少し離れた場所に、響さんと姫ちゃんがこちらを見て立っていたのだ。
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