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結局、あれから人魂の主を見付ける事も出来ず、響さんが私に見せたであろう試験管が何なのかもわからず、私達は西尾さんの家に戻った。
出迎えてくれた村田さんに、外であった事を話して、これからどうするべきかを考える。
「手掛かりがなくなっちまったな。今日のうちにでも見付けてやりたかったが……もう少しだけ苦しむ事になるか」
腕組みをして、ベッドに横になる雫ちゃんに目を向ける村田さん。
私は……響さんの事を言うべきなのかな。
もちろん、響さんがこの件に関わっているとは思っていないけど、西尾さんと私を見定めるような視線と、最後のあの態度が気になる。
意味がないなら、あの試験管は何の為に見せたのか。
「やつは……きっと今、自宅にいるに違いない」
帽子をデスクの上に置いた西尾さんが、椅子に腰掛けて真剣な表情でそう呟いた。
「ほう?いつになく真面目だな。この時間ならそうかもしれんが、その自宅がどこかわからないだろう?」
「そう!後を尾ければ良かった!今頃あの変態野郎は天使をひん剥いて、欲望の赴くままに汚しているに違いない!俺がいながら、そんな事をさせてしまうとは!」
主じゃなくて響さんの事!?
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